耀変天目 

ただただ楽しく愉しく

煙くらべに おくれるべうやは 

『立ち添ひて消えなまし憂き事を思ひ乱るる煙くらべに おくれるべうやは 』

 

源氏物語 にでてくる

女三の宮 の歌

 

 

解釈はいろいろ…。

 

 

ままならないことに囚われ執着してしまうのが恋心 なのかもしれません。

 

この歌を返された公達の

運命的に

垣間見た

自らの想像を一心に受け入れてくれた相手に夢中になりすぎ執着してしまった恋の話しがストーリーの一つ。

 

 

この恋の主人公は

柏木という青年。将来の期待を一心にうけるエリート中のエリート

相手は

前帝の娘で親友の父の年若き幼妻

不自由のない位で

欲する前に周囲が察してくれる身分で

『大きなお人形さん』

拒否することも知らない女性。

女三の宮、内親王さま。

 

なんとか

仲介してもらい柏木は思いを遂げることができたのですが。

 

関わってしまったが最期だったのか

嫌いにもなれないけれど

満たされる訳でもない

捉えどころがないから尚更離れられない。

 

恋なのか執着なのか

相手は言動では一切

答えてはくれないけれど

身体は受け入れてくれるし…。

 

 

間違った とわかっているのだけれど

互いの罪を知る数少ない共犯者。

より離れられなくて。

 

 

伝えあい自覚し合う時間もないまま

2人の年若い恋人たちは

1人は生命を終え

1人は悦びを捨てることに。

 

死の床で苦しみを共有したい気持ちを確認したい柏木の催促に対して

嫌々ながら女三の宮が返した歌が標記の歌です。

 

 

女三の宮は柏木をどう思っていたのでしょうかね。

 

 

2人の仲を仲介した女房の想い。

 

 

こんなに良き男が一心に想いつめるほど恋焦がれるなんて羨ましい。

しかし、姫さまは興味もなく、何が楽しくて生きているのか?

生きる悦びも知らないままに

このまま一生を終えることが幸せなのかしら…と。

 

源氏は愛することを知らない人だと

女三の宮を評する。

 

どうなのでしょうね。

 

 

 

私には好色と官能の違いを

表しているように感じられて。

 

 

若い2人の不器用ながら

性愛を通して官能に導かれ惹かれあう姿には  

光源氏との間には好色や好奇あれど何もなかったんだろうなぁ想像されて痛烈な皮肉。

 

三の宮が柏木を受け入れたのは一度ではないことを考えるとある種のつながりが2人にはできていたのではと私には想像されて。

 

光源氏はこのたった一つに

数多く経験しながらも目覚められなかったんだと思うと…。

 

 

幸せとは何かを改めて考えさせられます。

 

 

想像ですが

女三の宮が最期の床で思い出したのは 柏木衛門督 だと思っています。

 

 

一見、悲劇的なのですが

実は誰よりも幸せな恋人だったように

わたしには思えてなりません。